2012年11月21日水曜日

Serpentine Gallery Pavilion2012

 サーペンタインパビリオンに行ってきました。サーペンタインパビリオンというのは2000年以降毎年夏季限定でケンジントンパーク内のサーペンタインギャラリーに隣接した土地に仮設のカフェ兼休憩所のパビリオンを設営するという企画です。これまでにはザハ・ハディッド(2000年)、ダニエル・リベスキンド(2001年)、伊東豊雄(2002年)、オスカー・ニーマイヤー(2003年)、MVRDV(2004年・諸般の事情で延期)、アルヴァロ・シザ&エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ(2005年)、レム・コールハース(2006年)、オラファー・エリアソン&セシル・バルモンド(2007年)、フランク・ゲーリー(2008年)、SANAA(2009年)、ジャン・ヌーヴェル(2010年)、ピーター・ズントー(2011年)といった一流の建築家達が設計してきました。そして今年のパビリオンを設計したのはスイス人建築家のヘルツォーグ&ドムーロンと中国人芸術家のアイ・ウェイウェイ氏です。彼らは2008年の北京オリンピックの会場であった”鳥の巣”を設計したチームです。

 今年のパビリオンのコンセプトは、芝生の繁る地面の下に隠された、過去のパビリオンの歴史を探る、というコンセプトで、これまでのパビリオンを象徴する11本の柱と、現在のパビリオンを表す12本目の柱が、地上1.4mの高さに浮かぶ屋根を支えます。彼らは、考古学的な手法を用いて、地面の下の世界で時間を遡り、パビリオンのゴーストをたどるというデザインを構築しました。

 実際に訪ねてみると、ものすごく広い公園(公園に行ったら見つかるというようなあまい気持ちで行った結果、公園内を一時間半くらい探し歩くはめになりました。)の一角にパビリオンはありました。少し肌寒い時期ではあったものの自分が想像していたより人々でにぎわっており、イギリス人の建築やインテリアへの関心の高さがうかがえました。

 中は複雑な地形になっており、一見石材のように見える内装、イスは実はコルク(独特な質感と、地面を掘削したデザインに呼応するという理由とサステイナブル建材であるという理由から、コルクが選ばれたそうです。)で作られていました。中では人々が団欒したり何かを食べていたりしてそれぞれの時間を過ごしていました。また、子どもたちが走り回ったりもしていて、遊び場にもなっていてとても賑やかでした。コルクで作られているということもあり、それらを見ていても危なっかしくなく、座っていても暖かみを感じ、すごく居心地がよかったです。

 パビリオン内に配置されているイスは持ち運びが可能で、自分が好きな場所で過ごすことが出来ます。ここに僕は今回のパビリオンのコンセプトである”時間を遡る”という部分を感じたような気がしました。”好きな場所に移動して、好きな事をする”ということは僕たちの遠い祖先がしていたことだったのではないか?という想いが浮かびました。それは今とは違い、気候の変化や食糧を確保する為、生きる為だったかもしれません。

 また、楕円形の屋根の上には水盤が張ってあり、公園敷地内の美しい木々を映しこんでいました。風が吹いた時には波紋が広がりとても穏やかでした。

 屋根の上はすごく穏やかな景色が広がっていたのに対し中は人々で賑わっており、まるで静と動を同時に見ているようで不思議な気持ちになりました。

また、過去にタイムスリップしたような気持ちになるとともに一見石材と思う内装やイスが実はコルクという現代の技術で出来ているという不思議な空間でした。

静と動、過去と現在が融合したような素晴らしい空間でした。




 

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